マサイ族の村には男にとっての天国が広がっていた!
はじめまして。
ストリートライターのフーヘイ(@Fu_HEY) です。
路上から失礼します。
東京はまだまだ残暑が厳しく、最近は光熱費を浮かせるために、道端で仕事をしています。
必然的に雨の日は休みになるので、収入は下がる一方です。
ますます光熱費が払えません。
ホント、これからの台風シーズン辛いわー。
少し前の話になりますが、全財産をはたいて新婚旅行に行ってきました。
行き先はケニアにあるマサイ族の村です。
そこには男にとって天国のような生活が待っていたので、より良い暮らしを求める世の男性たちに向けて、素晴らしきマサイの暮らしをご紹介しようと思います。
▲マサイマラ国立公園行きの小型飛行機。コックピットまではこの距離感
マサイ族とは、ケニアからタンザニアにかけての地域で暮らす先住民族で、総人口は20〜30万人といわれています。
日本では、驚異的な視力とジャンプ力を誇る民族としても知られていますね。
あるテレビ番組の調査では、視力12.0という数値を叩き出したツワモノもいるとか。
一体、どんな世界が見えているのでしょうか?
毛穴の奥の角質とかまで見えるのかな?
裸眼で視力0.1にも満たない僕には想像もつきません。
マサイ族の村を訪れるためには事前予約が必要です。
予約なしで行くと敵が攻めてきたと勘違いされ、排除される可能性もあるので、十分ご注意ください。
また、彼らにとって家畜は貨幣のようなものなので、訪問の際は余計な牛や羊を連れて行かないようにしましょう。
争いの元になりかねません。
我々が訪れたマサイマラ国立公園の中には、マサイ族の村が複数あり、そのうちのいくつかが観光客を受け入れているそうです。
早速、ホテルからマサイ村訪問ツアーを予約すると、ガイドの青年が迎えに来てくれました。
こちらがその青年A君です。
イニシャルにすると容疑者感が出てしまうので、名前にしましょう。
アレックス君です。
本名ではなくガイドをするときの名前だと言っていました。
いわゆる芸名ですね。
ちなみに両手に持っているのは動物のフンです。
アレックス君によると、彼の村はホテルから歩いて20分ほどの場所にあるとのこと。
驚異的な身体能力を誇るマサイ族のスピードで20分なら、運動不足気味な僕だと1時間くらいかかるのではないかと心配になりましたが、歩くスピードは人類共通だったので安心しました。
しかし、驚いたのは、その道すがらの景色。
このように、歩いていると突然キリンに出くわしたりします。
言っておきますが、マサイ族の粋な演出ではないですよ。
正真正銘の野生です。
他にも野良シマウマや野良イボイノシシなどに遭遇しました。
東京でいえば野良猫を見かけるくらいの頻度で野良哺乳類と出会うという環境。
〝野生の王国〟という異名はダテじゃありません。
「このずっと先を見て。ゾウの親子がいる」とも教えてくれましたが、メガネをかけても視力1.5しかない僕には何も見えませんでした。
これは、もしかすると〝驚異的な視力を誇る〟というキャラクターを活かしたマサイジョークだったかもしれません。
今となっては、そのことに気づけなかった自分を恥じるばかりです。
▲集団で草を食む野生のシマウマ
様々な動物のフンを見分ける方法という、今後の人生にどう活かせばわからないテクニックをレクチャーしてもらっているうちに、我々はアレックス君の村に到着しました。
村は木の枝を集めたような柵で囲まれており、その外では複数の男性がおしゃべりをしていたので、僕は思い切ってあいさつをしてみることに。
「ジャンボ!」
子どもがフザけて言うためだけにあると思っていた「ジャンボ」というユニークなあいさつを、まさか実際に使う日が来るとは。
これだけでもケニアに来る価値はあるのではないでしょうか。
しかし、アレックス君によれば「ジャンボ」はケニアの公用語であるスワヒリ語ではあるものの、マサイ族では使わないとのこと。
僕は、自分の勘違いに気づかないまま、意気揚々と謎の言葉であいさつをしたわけです。
外国人が日本人はチョンマゲを結ってると思っているようなもんでしょうか。
たぶん違いますね。
上手い例えが浮かばないので話を先に進めます。
▲マサイの戦士たちと記念撮影。アレックス君以外はあまり笑っていないことが気がかり
村に入ると、今度は女性や子どもたちが歓迎の歌とダンスを披露してくれました。
着ている衣装がみな華やかだったので「いつも、こんな服を着てるんですか?」と尋ねると、「これは祭事用の衣装よ」との回答。
お客さんが来るから着飾るっていうのは、世界共通の女心なのでしょうか。
それとも、お客さんを歓迎するために着飾っているという発想自体が間違いで、単なるビジネスライクな振る舞いなのでしょうか。
前者であることを信じたかったので、それ以上の質問はやめました。
▲歓迎のダンスと、色とりどりの衣装を着たマサイの女性たち
驚いたことに、マサイ族の男性は仕事をしないそうです。
唯一の仕事は、火を起こすこと。
それも、女性たちが貴重な火を絶やさないよう大切に守るので、実際に火おこしをするのは数週間に一度くらいのペースだとか。
かつては、勇気を示すためにライオンを狩るなどの伝統もあったようですが、今は政府に禁止されており、男性たちは時々、気が向いたように家畜の様子を見に行く以外、日がなおしゃべりをして過ごしているとのことでした。
一方、女性はというと、火おこし以外の仕事をすべてこなすといいます。
料理や子育てはもちろんのこと、家を建てるのも女性の仕事。
そのため、マサイ族の家は天井が低いのですが、これには「男性が毎日、頭を下げて家に入ることで、女性への感謝の意味を示す」という意味も込められているそうです。
変なところで謙虚ですね。
▲マサイ族の家。壁に使われているのは泥と牛糞を混ぜたもの
ちなみに、男性があまり働かず、その分女性がせっせと働くというのは、ライオンのライフスタイルと同じだとか。
ライオンのメスは狩りから子育てまで、生活におけるほとんどの仕事を一手に担います。
それに対して、オスが活躍するのは縄張り争いの時だけ。
それ以外のときは、木陰であくびなどしながら、メスが仕留めてきた餌を食べて生活しています。
人間でいったら、完全なるヒモ生活ですね。
しかも、ライオンもマサイ族も一夫多妻制だそうです。
「羨ましい」という素直な気持ちが口をついて出そうになりましたが、これは新婚旅行だということを思い出し、既のところで思い留まりました。
だけど、ライオンと同じということは、女性がメインで働くことや一夫多妻制というマサイのスタイルは、生物的には真っ当な暮らし方とも言えるのではないでしょうか。
僕も人間が作った社会ってヤツの枠組みに縛られぬよう、これからはより自然体な暮らしを求めていこうと思います。
その一環として、今、こうして路上で記事を書いているわけですが、通り過ぎる人々からは真っ白な目で見られ、嫁からは「そんなロクデナシと結婚した覚えはない!」と詰められています。
そうしたプレッシャーに耐えながら生きていると思うと、マサイの男たちは本当に勇敢ですね!
僕は、とりあえず光熱費くらいは払えるよう、明日から屋根付きのベンチでも探そうと思います。
この記事を読んでいる人の中にめちゃくちゃモテまくりで「どの娘にするか選べないYO~~!」なんてイケメンがいたら、マサイ族の村に移住して一夫多妻制で暮らしてみるのも良いかも知れません。
散歩中にライオンに襲われても知りませんけど。
それでは、またどこかで!