メキシコにある近未来すぎる図書館と、本場のテキーラで死にかけた話
こんにちは。
ストリートライターのフーヘイ(@Fu_HEY)です。
イチョウ並木から失礼します。
前回書いた『東北出身者が「芋煮!芋煮!」とうるさいので本当に人気行事なのか現地調査してきた』という投稿が、フェイスブックで500以上もシェアされててビビってます。
さらには、「来年はうちの芋煮においでよ!」というお誘いもたくさん頂いてビビってます。
みんな本当に芋煮を愛してるんですね。
来年はちゃんと計画的に取材したいなー。
こちら東京はすっかり秋も深まり、日に日に寒くなってきました。
食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋などといわれるように、秋は何をするにも良い季節ですが、路上を仕事場としている僕にとってはなかなか厳しい季節です。
そこで頼りになるのが図書館。
図書館っていいですよねー。
静かで落ち着いた雰囲気だし、仕事に必要な資料がたくさん揃ってるし、それでいてタダで利用できるなんて!
楽園か!
坂口恭平(@zhtsss)さんが「図書館を自分の本棚として利用している」みたいな話をしてましたが、まさに僕もそんな感じで使わせてもらってます。
あと、図書館は建物としても面白いところが多いんですよ。
僕は、海外に行くと必ずその土地のスーパーと図書館に行くようにしてるんですが、特に印象に残っているのが、メキシコシティにある『ヴァスコンセロス図書館』という図書館です。
まずは、こちらをご覧ください。
なんだかよくわからないかと思いますが、これが書架です。
引いてみるとこんな感じです。
それぞれの書架が天井から吊るされてて、全体がブロックで構成されたパズルみたいになってるんですよ。
利用者は各ブロックを渡り歩きながら本を探します。
複雑なように見えますが、書架にはそれぞれナンバリングがされているので、目的の本を探すのも簡単です。
上から見下ろすとこんな感じ。
そして、なぜか図書館の中心には〝鯨の骨〟が。
なんかもうSF感すごいですよねー。
最初に行った時は「なんなのコレは?」という驚きに感情が支配されたまま、何も考えられなくなりました。
自分の常識に当てはまらないことに出くわすと、人は感情に支配されて思考を失いますね。
この図書館には本だけでなく、利用者が自由に使えるパソコンもあって、情報収集をするには最高の環境でした。
僕も週に何度か通って、メキシコシティの情報を調べたりしてたんですけど、ある日、隣のおじさんに声をかけられて〝闘牛の魅力〟を熱心に語られるという状況に遭遇しました。
聞くところによると、かつてスペインの植民地だったメキシコでは、大衆娯楽のひとつとして闘牛が人気だとのこと。
興味はなかったんですが、おじさんがあまりに熱心に語っていたので、とりあえず翌日に行ってみることにしました。
そしたら、ご覧の通り本当にめちゃくちゃ賑わってるじゃないですか!
写真の奥は人がまばらなんですけど、向こう側は高い席なんですよね。
闘牛場は円形になってて、チケットは日陰の席が高くて、日向の席が安いというシステムになってました。
メキシコシティは海抜約2300メートルという高地にあるので、日差しが強いんですよ。
日向の席は日よけもなく、眩しいし、日焼けしまくり。
とはいえ、僕はお金がなかったんで、一番安い日向の席に陣取って観戦してました。
そしたら、想像以上につまらなくて…。
つまらないっていうか、僕は〝牛対人間の一騎打ち〟みたいなのをイメージしてたんですけど、スタートからして全然違ってて。
まず、人間が複数人で1頭の牛に剣を刺すところから始まるんですよ。
これには闘争心を煽るって意味があるみたいなんですけど、刺されて血を流したら牛は弱っていくに決まってるじゃないですか。
その状態でマタドールが出てきて、赤い布をヒラヒラさせながら、突進してくる牛をサッとかわすところを見せられても…ねぇ。
フェアじゃないじゃないですか。
別に人が怪我すりゃ満足ってわけではもちろんないんですけど、戦う意思のない牛を傷つけて闘争心を煽り、とどめを刺すってのは単純に楽しめませんでした。
「死んだ肉は食用として利用されるんだから、屠殺場と変わらないじゃないか!」という意見もあるようですが、屠殺はショーや見世物ではないですからね。
地元のお客さんは、マタドールが突進してくる牛を交わすたびに「オーレ!」の大合唱で盛り上がりまくってましたけど、僕としてはどうしても抵抗がありました。
メキシコ人からしたら、日本の活け造りとかも残酷って話になるのかもしれないけど。
闘牛の本場スペインでは闘牛を禁じる条例なども成立しているようですが、一方で、伝統文化って側面もあるし、マタドールに憧れている少年とかを見るとまた複雑な気分ですね。
エンターテイメントと割り切ることもできず、モヤモヤと考え事をしながら見てたら、妙に陽気な3人組が近寄ってきました。
「ウェイウェーイ!」ってなノリで、「ハポネス(日本人)か?」って聞いてくるもんで、最初は鬱陶しいなと思ってたんですけど、「そーだよ」って言ったら、ますます陽気にからんできて。
いきなり「ハポネスのプライドを見せてみろ!」とか言ってくるんですよ。
ベロベロで。
「何言ってんだ?」と思って見てみたら、そいつら誰が一番酒が強いのかテキーラの飲みくらべをしてたみたいで。
しかも、ショットで何杯飲めるかじゃなく、牛の胃袋みたいなのものの先に細い注ぎ口がついてて、それをどれだけ一気飲みできるかっていうスタイルで勝負してるんですよ。
闘牛場でテキーラの飲みくらべって、どう見てもアホじゃないですか。
無視しようと思ってたんですけど、すげぇしつこくて。
頼んでもないのに、最初にルイスっていうウェイウェイ兄ちゃんが、やってみせてくれたんですけど、袋を逆さにしてテキーラを直接口に注いでるわけだからもう5秒くらいで結構な量が口の中に投下されるんですよ。
それを何回もやってるわけだから、そりゃ泥酔しますよね。
それを繰り返しながら「くー、きついぜ」とか真顔で言ってるもんだから、だんだん面白くなってきちゃって。
「闘牛つまんねーから、テキーラ一気するか!」と思って、結局僕も挑戦したんですよ。
「やるからには負けられない」と思って、ウップウップいいながら20カウントまでいったら、3人組が超盛り上がっちゃって。
「こいつは侍だ!」「俺は初めて本物の侍を見たぜ!」みたいなノリになって…
気づけば、すっかり意気投合!
闘牛を見限って、一緒に飲みに行くことになりました。
とりあえず、外でタコスをおごってもらって、最初にやったのが複数人で輪になってコードを握るという謎のゲーム。
10人くらいが順番にコードを握りながら輪を作って、最後に僕がコードの両側を握ると全員に電流が走るという恐ろしくバカなゲームでした。
めっちゃ笑ったけど、冷静に考えると危ないですよね、コレ。
日本だったら大問題になりそう。
そうこうしているうちに僕も、すっかりウェイウェイな感じになってしまいまして…。
次にカメラに残ってた写真がコレです。
すっかり朝になってますね。
どこからどう見ても平和な朝ですが、この時、僕は人生史上最大の二日酔いに見舞われていました。
写真は一枚も残ってないんですけど、この間、とんでもない量のテキーラを飲みまして。
結果としては、その夜、血を吐きました。
写真には残っていない空白の10時間の詳細は以下の通りです。
闘牛場を後にした我々は、ルイスの家に行くことになりました。
途中、お店でビールを飲んだり、茹でたトウモロコシを食べたりしながら、楽しくしゃべってたんですよ。
そこまでは良かったんですけど、家に着いてからが問題で。
「日本からはるばる侍が来た」という話で、彼の家で宴会が開かれることになりまして…。
んで、僕の紹介のされ方が「こいつは20カウントまでテキーラを飲める」みたいな感じなので、その都度、テキーラを一気をさせられるわけですよ。
しかも、時間が経つごとに近所の友達とかも集まってきて、家の前の路上で大宴会が始まっちゃって、ルイスは新しい友達が来るたびに僕を侍だと紹介するので、何度も何度も20カウントのテキーラ一気を披露するわけですよ。
もう、その先は説明するまでもありませんが、案の定、ぶっつぶれた僕こと侍はルイスの家の前で寝ゲロを連発。
しかも、全員ベロベロだから誰も気に留めないという地獄絵図が完成。
最後、胃の中が空っぽになって、口から血が出たところで僕の記憶は潰えました。
猛烈な頭痛と、吐瀉物の匂いに叩き起こされたのは、朝の10時頃だったでしょうか。
目がさめると僕はルイスのベッドに横たわっていました。
グレーのパーカーは血に染まり、カピカピになったタコスの皮がこびりついていました。
こんなに酷い二日酔いは、後にも先にもありません。
正真正銘、人生で最悪の二日酔いでした。
ルイスは朝飯食うかと言ってきたけど、もうモサモサしたパンなんて食べられるはずがありません。
結局僕は、その日1日を彼のベッドで過ごしました。
その時の青空の眩しさは今も脳裏に焼き付いて離れません。
みなさんもテキーラの飲み過ぎには気を付けましょう。
図書館の話から大分それましたが、今回ブログを書いた目的は他でもない、本の宣伝です!
僕がテキストを書かせてもらった『死ぬまでに行きたい 世界の図書館』という本が発売になりました!
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図書館好きの方は是非手に取ってみてください。
もちろん、メキシコシティのヴァスコンセロス図書館も掲載されていますが、僕がテキーラで潰れて記憶を失った話は一切出てきません。
ご了承ください。
それでは、またどこかで!